沼の入り口に立っているのか,それともこれで試合終了なのか……
TL; DR
- Corne Chocolateを購入してだいたい組み立てた
- 特定パーツが一時的に入手困難になるのですっごい長い気でいないと「まだ使えねーーーーーー!!はよしてーーーーーー!!!!!」ってなる
- 慣れてくると表面実装も意外とひょいひょい進む
- 温調はんだごて+C型こて先は神,共晶はんだも神,フラックスも神
- LEDの取り付けは本当に難しい(特にトラブルシュート)
唐突ですがCorne Chocolateで自作キーボードデビューを果たせそうなので組み立て記録を書きます.自作キーボードに興味が湧いて作る気力も湧いたのですが,私の机にはあまり空きスペースがありません.そこで小さいキーボードを探していたところ,目についたのがCorneとIrisでした(あとでLily58とErgoDash miniもいいなーと思いました).
2つを見比べて,どうも大きな差は数字列があるかどうかだと考えた私は,「どうせならスパルタンにコンパクト化しよう」と思い,遊舎工房の通販サイトを眺めて在庫を見ること数日,入荷があったCorne Chocolateに飛びつきました.
ということでここからはお金関連とビルドログ.まずはどれくらいかかったかからどうぞ.
ブツ | せつめい | お値段 |
---|---|---|
キット | PCBとPro Microとダイオードと...一式のセット. 遊舎工房オンラインで購入. |
13000円くらい |
キーキャップ | 実際に指が触れる部分. @monksoffunkJPさんのdmm.makeのやつ |
7000円くらい |
キースイッチ | Kailh Low Profile 赤軸でいきたい. が遊舎工房オンラインで売り切れてたので入荷待ち |
2500円くらい |
3.5mmオーディオケーブル | 左右をつなぐのに必要. 手持ちのものがあれば購入不要 |
800円くらい? |
USB-C to micro USBケーブル | PCとキーボードを繋ぐ.MacとつなぐのでUSB-Cにした. 手持ちのものがあれば購入不要 |
700円くらい? |
はんだ | 共晶はんだ.線径0.8mmのやつ | 400円くらい |
フラックス | はんだ付けしやすくする液体. こてでジュワーする前はけっこうくさい |
500円くらい |
はんだ吸い取り線 | 失敗したら使う.LED実装するなら必要だと思う | 300円くらい |
こて先 | 手持ちの温調こてに合うやつ.C型にした | 1800円くらい? |
逆作用ピンセット | 表面実装部品をつまむために絶対必要. ゴツくて硬いやつを買ってしまったのは失敗だった. 普通のピンセットでももちろん可. |
300円くらい |
お皿的なやつ | 部品やらをザラザラさせておく | 200円くらい |
テスター | 通電確認とかのため | 1000円くらい? |
表面実装練習キット | いきなり本番やるのが怖かった | 1000円くらい |
ケーブル類から後は手持ちのものがあればかからないお金です.人によっては半田ごての購入が必要で増えたり,逆に手持ちのものがあるからいらねーやと減ったりすると思います.
結局キーボードキット+キーキャップ+キースイッチで2万円ほど,ケーブル類工具類が追加で0.7万円ほどかかりました.工具類をそろえたのが意外と効いてますが,実際ないと困るので必要経費.
ほかの方のビルドログでは確認できなかったのですが,こんな感じ(↓)の容器を用意すると便利だと思いました.ダイオードやスイッチソケットは全部この容器に突っ込んでました.
ではビルドログ……の前にはんだ付け練習から.電子工作は何度かやった記憶がありますが,表面実装は全くの未経験なので練習キットをAmazonで調達して練習しました.1000円で練習基板と部品が4セット入っていました.全部使えば数百箇所練習できます.
TEKNON 電子基板 ハンダ 付け 練習 キット 部品 付 エレクトロニクス の 初歩 (ミニ)
- 出版社/メーカー: Nobrand
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練習の1つ目でこて先パワーを実感しました.本当につけやすいです.フラックスもよい助けになってくれました.抵抗をつけまくって表面実装への恐怖心が和らいだところで本番へ.
ということで本番.ビルドガイドを何周か読んでから挑みました.左右と裏表を間違えないように,表側にマスキングテープを貼って右とか左とか書くとよいです.ちなみにメンディングテープだとほとんど見えない.
まずはダイオードから.ビルドガイドの写真でははっきりと部品に線(カソードを示す?)が入っていますが,手元に来たものはこの線が薄く,はんだ付け以上に方向の見極めに苦労しました.なお実装自体はちょろっと足が生えているおかげで表面実装練習キットより楽だったかも.
続いてTRRSジャックとリセットスイッチ,ピンソケットと,OLED用のジャンパ.白いシルク印刷がガイドになってくれますが,裏表を間違えないように,挿す位置を間違えないように注意が必要です.この辺りでは相当にはんだ付けにも慣れていましたが,OLED用のジャンパでは死ぬほどてこずりました.
そしてProMicroの実装.microUSB端子がモゲると評判なので,2液混合タイプの接着剤で固めておきました.最初左手側の分だけ接着剤を塗ったのですが,ファーム焼く段階で「これ両方固めないとだめじゃん」と気づきました.接着剤を塗る場合は足を生やす前にすると塗りやすいです.ちなみに遊舎産のProMicroはスプリングピンヘッダ付きなので最悪交換できます.
OLEDモジュール.特に書くことはなさそう.ここまでの状態でファームを焼いて動作確認しました.qmkの環境構築はマジで時間かかったので先にやっておきましょう……ファームが書けたらピンセットで適当な端子をパチッとするとキー入力になると思います.
ほぼ大詰めのキースイッチ用ソケット.裏側から実装します.ビルドガイド通りに.しっかり密着させるべきかなあと思って親の仇のごとく力を入れて押さえながらはんだ付けをしていたら指が死にそうになりました.
ここまででおそらく6時間?くらいでした.そしてキースイッチもキーキャップもこの時点で届いていたのでやることがなくなり,どうせならとLEDの実装に手を出しました.
underglow LEDの実装.これもビルドガイドをよく確認して該当のものを実装します.が,本当に難易度が高い(バックライト用より難しい)と思いました.理由は
- SK6812MINIが熱に弱い.はんだ付けでもたもたしていると簡単に死ぬ
- underglowの場合,LED側のパッドが見えないのではんだ付けで失敗しやすい(気がする)
- 光らない絶望感
- 光らない際の原因究明
- 死体のはんだを吸って剥すのもまた難しい(吸い取り線下手くその場合)
あたりです.12個実装する間に2個壊しました.基板についてる1個も死にかけなので3個かな……
光らないときの原因究明が本当に難しかったです.どのパッドとどのパッドにテスターを当てるべきかについてはmarksard様のこちらのページがとても参考になりました.
熱で死んだ以外だと,光らないLEDのはんだ付けがうまくいっていない,光らないLEDの1つ前のDOUTのはんだ付けがうまくいっていないパターンが起きました.熱で死ぬことを恐れすぎて250℃(手持ちのこての最低設定温度)で作業していたのですが,どうもうまくLED側のパッドを温められていなかったようです.死んだかなーと思って280℃ではんだ吸い取り線をジュージューしていたらなぜか光るようになってからは270℃で作業するようにしました.フラックスをべたべた塗ってジュージューいっててもパッド同士がブリッジされないと意味がないなー.
ちなみに基板側のパッドに予備はんだを盛ってから実装したのですが,4つパッドがあるのでLEDが浮いたようになってしまい,結果的にあまりよくありませんでした.こて先にはんだを付けた状態で,うまくパッドにジューとするのがよさそうです(下の下手な図を参照).
そんなこんなでなんとか12個実装できました.が,右手側1番のLEDが死にかけで実装されてしまったらしく電源投入時に青く光ってしまう(デフォルトファームでは赤)ようになってしまいました.Discordで助けを求めたところLEDリセットでいけるとのことだった(実際そうだった)ので変な色な場合はまずLEDリセットを試すところから.
そしてページ冒頭の画像に戻ります.なんとか動いてよかったです.なおキースイッチがないので(赤か茶が欲しかったけど遊舎売り切れ)まだ動かせていません.Cherry系スイッチなら種類も多いので入手性も高いのですが……NovelKeysのお世話になろうか思案中……
(追記)なりました.どうせキースイッチとっかえて遊びたくなるだろ & 赤・茶はそのうち遊舎に入るだろ推定で,HeavyのDark Yellowを50個(5パック)と,お試しで同Burnt OrangeとPale Blueを10ずつ.
(追記2)遊舎工房にも入荷があったので,現状は赤軸で運用しています.NovelKeysでの注文分は2週間くらいで届きましたが,遊舎のほうが速かったので......
(追記3)結局Backlight LEDも実装しました.Underglowとは打って変わってとんでもなく楽でした.SK6812Miniを調達しておいたのに1度も失敗しなかったので全部余ってしまいました.