nokの雑記

技術的な内容にしようと思ったけど無理でした。

DENON AH-D9200を買った

ヘッドホンはこれでゴールした気分です。

以前DENON AH-D5200を買ったというエントリを書いたのですが、ついに同系モデルのトップに手を出しました。
(なお、AH-Dシリーズは9200, 7200, 5200とありますが、上のモデルが完全に強いわけではなくモデルごとにキャラクターがあるので、高ければいいというものでもないです)

購入して2日目なのですが、この衝撃を忘れないうちに書き留めておきたいなと思ってファーストインプレッションレビュー的なものを置いておきます。

TL; DR

  • 1.5年前に試聴して一目惚れしてからじっくり考えて購入
  • アンプに繋いで音を流した瞬間に笑った
  • 原音忠実というよりは少し明るく味付けした見通しの良い音。
  • 1音1音がキレよく響く。個々の楽器の個々の音がわかる
  • 音の定位が見事。左右センターの配置はもちろん、微妙な位置に配置された音源もわかる(気がする)
  • 密閉型としてはかなり豊かな空間表現
  • 装着感は兄弟機と大差なし(=人による)

顛末

購入までにはかなり悩みました。 なにせ10万円超とそれなりに高い部類で、ネットでも新品16万円からとなっています(2020年12月現在)。 すでに家にはK712ProとAH-D5200があります。 でもずーっと欲しかった1台でした。 上にも少し書きましたが、量販店の店頭でDA-310USBに接続された状態で試聴OKだった本機を軽い気持ちで試して衝撃を受けたのが1.5年前です。

1.5年前というとD5200を買って半年くらいです。 D5200とK712の2台体制で楽しんでいたのですが、たまたま何かの用事のついでホームシアターセットの施工店のついでに立ち寄った家電量販店でAH-D9200の試聴機を見つけてしまいました。 高すぎるだろと思いながらも、兄弟機を知っておくのもいいだろうと試してみて衝撃を受けました。

DENONのこのシリーズは5200/7200/9200で少し違うキャラクターを持つという話はデノンの公式ブログからもわかるのですが、あまりにも違いました。 硬くて太い音が鳴るD5200に対して、D9200は軽やかで明るく、ある種の空間が表現されているような感じで、その場で一目惚れしました。 D5200を買ったときのブログエントリで「最上位機D9200では孟宗竹(すっごい軽そうだし変な響きが出そうだけど大丈夫なんですかね)」なんて書いたのは完全に間違いでした。

それから1.5年、ずーっとその音を忘れられず、欲しいなー欲しいなーと思い続けていたのですが、生活面の大きなヤマを超えたのでここまで頑張った自分にご褒美兼これからも頑張れよの意を込めて買ってしまいました。 一目惚れした機種なので、他の機種を視聴することもなく純粋に買うかどうかだけで逡巡したのですが、年末なのもあって散財欲に抗えませんでした。

外箱

スペックとか

50mmドライバー、24Ωのインピーダンス、3.5mm両出しのケーブルは兄弟機たちと同じです。 このシリーズの特徴である木製のハウジングですが、この機種の場合は竹でできています。 D5200ではつるんとしていたのですが、D9200ではあえて凹凸が残されていて、面白い触り心地です。 やはりというかなんというか、1箇所だけ小キズ的なものがあったのですが、まあ気にしないことにします(木の繊維が毛羽立った状態でニスやったんじゃないかなークッソ高いヘッドホンなのでそのあたりはしっかりしてほしいですが、自分が神経質すぎるだけ?)。

トップ機種らしく高級感ある感じで箱の中に鎮座しています。 本体には、サウンドマネージャーの山内氏からのThank youメッセージとシリアルナンバーが記載された紙が巻いてありました。

メッセージとシリアルナンバーを記した紙が巻いてある

付属品は以下の通りで、ヘッドホン本体以外に、取説(保証書)とクリーニングクロス、ヘッドホンができるまでを書いた紙に、3mの標準プラグケーブルと1.3mの3.5mmプラグケーブル、3.5mmと標準プラグの変換プラグとなっています。 デスクトップ環境での視聴が多いので、ショートケーブル付属は助かります。 この記事を書いている途中で気づいたのですが、1.3mケーブルはOFCで、3mのケーブルはシルバーコートのOFCとのことです。

付属品

実際に聞いてみて(ここから先は個人の感想です)

ということで家の環境で視聴してみてを書いていきます。 再生環境は、PCからUSBケーブルでDA-310USB(ゲインはミドル)に音を出し、そこから1.2mケーブルで接続したD9200という具合です。 音楽再生にはSony Music Centerを使い、ASIOでアンプを駆動させた状態でCD音源、一部ハイレゾ音源を流して音を確認しました。

まずは1音目。 書いてる人間はオタクなので、アイドルマスターシンデレラガールズ神谷奈緒ソロ曲"2nd SIDE"のハイレゾを流しました。 この曲は入りが特徴的で「テューン」という感じのシンセ音?からスタートするのですが、このテューンがもう異次元でした。 これまで聴いていたものとは違う立体感(?)があって、その瞬間に笑いました。 めちゃくちゃ払って期待はずれだったらどうしようとか思いながら再生ボタンを押したのですが、一目惚れしたとき以上の衝撃でした。

そのまましばらくお気に入りの曲を聴き込んで、ずーっと笑ってました。 全体的なキャラクターとしては、音源に少し明るさを足す方面、ただし固有の癖はなく澄んだ音という印象を受けました。 出す音は1音1音の分離感・解像感が非常によく、ギター、ベース、ドラムなどの音を個々に綺麗に聞き取れることにまず感動しました。 音の伸び・響き・減衰のコントロールが非常に良くできていて、瑞々しい音が濁ることなく引いていくあたりは竹の恩恵なのかなーと思います。

密閉型としてはかなり空間表現がうまくて、密閉型らしい籠もり感がかなり薄いです。 無駄な反響が無いのが理由だと思います。 それもあいまって定位感も見事で、左右センターはもちろん、パン振りがある音もバッチリ追えるだけの正確さがあります。

全体としてキーになるのは無駄な反響のない澄んだ音、という部分でしょうか。 音の分離感・解像感・伸び・減衰・空間表現を下支えする基盤として効いています。 この傾向はD5200では感じられなかったことで、D5200に切り替えたら、勢いのあるパワー感が目立つ一方で、1音1音のキレや空間の広さは劣るなあと思いました。 ただ、D5200もレベルが高いのは確かで、やはりこれはヘッドホンのキャラクター性なのかなーと思います。 D5200はロックやテンポの早いアニソンを力強く鳴らす方面で開発して、D9200は1音1音を瑞々しく浮かび上がらせる方面、というか。 ちょっと高いヘッドホンを初めて買ったときみたいな「こんな音鳴ってたんだ」という感動はもはやありませんが、「この音ってこんな音だったんだ」という別種の感動を味わわせてくれるというか。

弟分のD5200と一緒に

音自体は今まで自分が使っていたヘッドホンからすると本当に異次元で、ただでさえ下手な文章がもっと下手になってしまうのですが、自分の一目惚れは間違いではなかったと思える満足感です。 音以外で気になる点があるとしたら、価格と装着感です。 価格は(青天井で販売価格が伸びている近年のヘッドホンの中では良心的とはいえ)10万円を大きく超えており、かんたんに人に薦められないのが残念です。 装着感は弟分D5200よりパッドが柔らかい感じですが、総合的にはあまり大差ないと思います。 悪いというほど違和感はないですが、3Dのパッドが若干人を選ぶかなあと思います。

つらつらと書いてみましたが、まだ2日目で全然慣らしていない状態&3mケーブル未体験なので、そのうち追記をするつもりでいます。 かなーーーり高い買い物だったけど、一目惚れした音を聴き放題でほんと楽しいです。

P.S. 付属の2種類のケーブルについて、ショートのOFCケーブルで視聴していたのですが、3mシルバーコートOFCのほうが好みの音でした。 多分ブラインドでテストされたらわからないと思うんですが、シルバーコートOFCのケーブルのほうが中高音のキレが良くて、小さい音のピックアップが良いような……


以下、記事を書いているときに主に聴いていた曲やアルバム。アニメ方面寄りになってますが……。だいたいどの曲もこれまでから上の次元で鳴るのでここが特に良い!みたいな部分は言えないです。

  • 2nd SIDE / 神谷奈緒: 真っ先に聴いたろ!と思っていた1曲。骨太なバスドラム、艶っぽいコーラスが印象的です。神谷奈緒役の松井恵理子さんの、涼しさとキュートさがバランスしたボーカルを見事にセンターに定位させてじっくり聴けました。
  • ...In The Name Of。...LOVE? / 真壁瑞希: オタクなのでミリオンライブも。イントロから鳴っている木琴のリズム感や、楽曲中に挿入される様々な効果音を綺麗に表現しています。
  • ONE! / ネクライトーキー: こんがらがった!・許せ服部・オシャレ大作戦を中心に。若干マスタリングが怪しい気もしますが、ドラムが下支えするエネルギッシュさが綺麗に出ていて、特にハイハット系が綺麗です。
  • 逆光で見えない / 日食なつこ: 水流のロック・跳躍を主に。澄んだピアノの音が非常に見事です。
  • FairyTaleじゃいられない / フェアリースターズ: またミリオンライブ。イントロの「かーなえーたいーものーがあーるよー」直後に楽器がなだれ込むところで音が割れるイメージがあったのですが、D9200だとそうはなりませんでした。マジ?
  • Sun Dance, Penny Rain / Aimer: 2019年発売のアルバム。We TwoやMonochrome Syndrome, I beg youを中心に。あのAimerの魅惑的なボーカルをこれでもかと浴びられて幸せです。
  • Traveler / Official髭男dism: 際立つのは女性ボーカルだけじゃない!ということで。息遣いがはっきり聞こえます。
  • フェイク / Mr.Children: ザ・フェイバリットということで毎回ベンチマークにしている1曲。左右の音振りが印象的な1曲ですが、見事。
  • Fantôme / 宇多田ヒカル: もともと鬼のような録音とマスタリングをしていると思うのですが、響きの妙というか、何もないとこからフッと音が浮いてくる感じでゾワゾワします。
  • μ's Best Album Live! collection (IもIIも) / μ's: 曲によってはだいぶ印象変わりましたがボーカルのコンプレス感と音割れはまあ…